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「人は変われる!」感動的な動画の影から読み取る底辺へのメッセージ

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「人は変われる!」感動的な動画の影から読み取る底辺へのメッセージ

しばらく前、バイラルメディアなどでひとりのホームレスが1日にして凛々しい風貌に変身する様子が拡散されました。
この一連の流れを振り返り、自分に照らし合わせて考えてみたいと思います。

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人は変われる!ホームレスの男性がスーツ姿に変身する動画が感動的と話題に

YouTube:Homeless Veteran Timelapse Transformation(2013年11月06日)

IRORIO 人は変われる!ホームレスの男性がスーツ姿に変身する動画が感動的と話題に(2014年04月25日)
http://irorio.jp/canal/20140425/130538/

naverまとめ 不思議な感動を呼ぶ『ホームレスのビフォーアフター』(2013年11月16日)
http://matome.naver.jp/odai/2138456556967680701

  しばらく前にネットで見つけた記事です。

要約すると、退役軍人でアルコール依存症のホームレス、ジェームズ・ウルフさん(以下ジムさん)がミシガン州のNPO法人(Degage ministries)の活動でプロスタイリストにより大変身を遂げる様子がタイムラプスでおさめられた動画で、「人生を取り戻した」といった内容です。 ツイッターやブログなどでも多く取り上げられており、多くの人が感動したようです。 僕も単純で涙もろいものですから動画を見てホロっとしましたが、 「いいね!」ボタンを押して社会問題に関心のある自分をタイムラインに流そうとした瞬間、我にかえります。 この動画をダシにして自分たちのアクセスが集められていることに。 動画にあるNPO法人のアドレスをクリックするとインデックスに寄付のページが表示されます。 そして、この動画はロブ・ブリスさんというクリエイターが作成・掲載し、復員軍人の日(11月11日。退役軍人の日、ベテランズ・デーとも呼ばれる)に公開され、数日で1400万回以上の再生、3万ドル(約300万円)以上の寄付を集めたようです。 しかし、少し調べるとジムさんに関するどの記事を見てもインパクトの強い動画の掲載しか無いという点が気にかかります。 「社会復帰を果たした」「職についた」「いまは幸せに暮らしている」などとは書かれておらず、動画の概要と好意的な感想しか見られません。    

劇的な変化を果たしたホームレスのその後の運命

僕は「〇〇 その後」で検索することが多いのですが、多くはマスコミも消費者も関心がなくなったのか、情報がつかめないことが多々あります。 しかし、今回のジムさんの件については続報があったので紹介したいと思います。

逮捕後のジムさん

逮捕後のジムさん / Photo by Huffington Post

ハフィントン・ポスト英語版(2013年11月20日) From homeless man to city slicker… to jail: Army veteran who underwent incredible transformation in timelapse video is jailed for trespassing at a Burger King (Google翻訳:ホームレスの男性から街のスリッカーに…刑務所に:タイムラプスビデオで信じられないほどの変貌を遂げる軍のベテランは、バーガーキングで不法侵入罪で投獄されている)

  英語じゃわかりにくいので下記に日本語の記事を紹介します。 ちなみに、事件後の日本語で掲載されている記事はほとんどありませんでした。

The New Classic 驚くべき変身を遂げたホームレスの男性、その後は?(2013年11月21日)
“今月17日にミシガン州のバーガーキングに不法侵入したことで、彼が逮捕されてしまったという新たなニュースには多くの人が驚いた。ウルフは、これによっ て刑務所に10日収容されることになったという。彼は動画が撮影された後に、住む場所を手に入れて厚生施設に通い始め、再び自らの人生を歩もうとしている と伝えられていた。”

“これは何を意味しているのだろうか?「人は変われる、あるいは変われない」という単純な議論では無いだろう。これは、貧困やアルコール中毒、あるい はホームレスなどのいわゆる「社会問題」としてくくられるような問題を根本的に解決することが、決して容易ではないということかもしれない。我々は、バイ ラルするビデオを見て、そしてFacebookで「いいね!」と言うことで、あたかもこうした問題に関与し、場合によっては感銘を受けることが少なからず ある。 しかし、そのことがストーリーの背後にある複雑な問題を理解することを忘れさせてしまうのならば、少しだけ立ち止まる必要があるだろう。全ての問題を深く追うことが不可能であったとしても、それは「バイラルする社会」においては不可欠なことなのかもしれない。”

僕はこの流れを見て動画は作成者の欺瞞だったのではないかと思うのです。  

ホームレスを変身させる「企画」

homeless インパクトの強い情報に目が行きがちですが、ホームレスが変身するという動画はこれだけではありません。

ロケットニュース24 悪名高きドッキリ番組の仕掛け人がホームレスの男性を「紳士に大変身」させた動画が感動的だと話題

ここで登場するマーティンさんに関してはその後、再度番組に取り上げられたようですが、それ以降の詳細は分かりませんでしたのでなんとも言えず。 出演者やマーティンさんとのやりとりを楽しむのが目的のようです。   このような企画は日本でも行われていたことがあるようです。 動画はありませんが、1992−96年に放送されていたテレビ東京の浅草橋ヤング洋品店 (通称アサヤン、江頭2:50さんなどが出ていたリニューアル前)というバラエティ番組です。 93年6-8月放送「ヒッピーはヤッピーになれるのか」というコーナーでは、ジムさんやマーティンさんと全く同じ内容でホームレスの身なりを変えるというものです。 この放送を受けて、ホームレスに支援する団体がテレビ東京に対して申し入れしたようで、製作者側の見解がウェブ上に残されており現在でも見られます。 ホームレスに支援をするNPO法人が掲載するテレビ東京の常務取締役制作担当者と番組プロデューサーの回答のページ。 特定非営利活動法人釜ヶ崎支援機構 掲載 [「ヒッピーはヤッピーになれるのか」コーナー放送までの経緯と反省] 取材協力依頼の際に差し出すカップ酒や煙草、シャワーや散髪、スタジオ観客の笑い声などが差別的という視聴者からのクレームがあったようです。 企画は社会問題の提起や貢献といった目的は薄いようで、外見を変える過程でのホームレスの方の反応や様子を楽しむという趣向だったのではないでしょうか。 出演料が支払われているとしても高い必要は無く、インパクトが大きいため費用対効果が高いのではないかと考えます。  

プロモーションに利用されるホームレス

大きな事例としてはチャリティモンスターの異名を持つ陳光標氏によるパフォーマンスではないでしょうか。
AFP BB NEWS 米NYホームレス、中国人富豪の招待ランチに「ペテンだ」と激怒(2014年6月26日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3018861

vanityfair

中国人実業家、陳光標が映画やテレビドラマなどにも登場する高級レストラン「ローブ・ボートハウス」で3品のコースランチと1人につき300ドルをプレゼントするという催し。
これを新聞広告に掲載して告知。
実際にイベントの会場では300ドルを手にしたホームレスと陳光標氏が記念撮影していますが、撮影後には回収されたそうです。
参加者はランチしか得られず、お金は慈善団体に寄付したとされています。(現金を渡すとすぐに消費してしまうため慈善団体が寄付を促したとされています) ニュースではまあり掲載されていませんが、チャリティでマスコミを集めておき、天安門事件に関するプロパガンダ会見も行っています。
陳光標氏の一連の行動を検索すると出てきますが、この会見の内容はグロテスクな表現を含むためご理解の上で検索してください。

施しを受ける人々

目当ての現金を受け取れなかったため「ペテンだ!」という主張も分からなくもありません。 しかし、このイベントに参加するために参加料を払ったとか、仕事を休んだとか、損失を被ったという人はほぼ居ないと思います。 さらに参加者はタダで高級レストランで飲食していますので、ホームレスの方々の1日分の稼ぎ以上の価値は享受できた可能性が高く、食事をした以上は文句を言える立場ではない訳です。 僕がこの一連の流れで感じたことはホームレスの方々が他者に期待しすぎているということです。 国でも自治体でもないよく分からない他国の人物を信用できるでしょうか。 中国で同じコストでイベントを行えば、より多くの人に貢献ができるのに。 アメリカのホームレスが施される「筋合い」が見いだせないのです。 とても苦しい生活のため、このような大きな釣り針にかかってしまい主催者の思うように操られてしまったのです。

支援が必ずしも役に立つとは限らない

僕が思うに、ジムさんの辿ったシナリオは動画の作成を依頼した(作成に協力した?)NPO法人が一番分かっていたことなんじゃないかと思うのです。 このような支援したが役に立たなかったパターンはモノやお金のほか行政の支援で見受けられます。

仕事ができないから、生活保護を受けているのであるし、また、生活保護を受けているから仕事ができないという事態が生じる。

生活困窮者の自立は簡単にはいかない。待っているだけでは相談に来ず、就職先を紹介するだけでは雇用につながらず、お金を貸しても自立できなければ焦げ付いてしまう。アルコール依存や摂食障害、うつ、介護疲れ、虐待、ひきこもり、浪費癖、触法行為などさまざまな問題が複合的に絡み合っていることが多い。

矯正プログラムが機能していない日本の刑務所。 堀江:僕のことは良くて、他の受刑者のことが気になる。クスリをやった人はだいたい反省してなくて、食事の時間など受刑者同士でクスリの話をしてる。性犯罪で捕まった人なんかは心の奥底がネジ曲がってる。まだ出所したら繰り返すと思う。

お金や人材を使ったからか、支援者はやった気になるだけで終わり、困っている当事者の根本的な問題が解決していないようです。  

「退役軍人」というキーワード

アメリカの「ホームレス退役軍人」に関するニュースは結構あるようで、このキーワードの関心の高さが伺えます。 アメリカのホームレス 4人に1人が退役軍人(2007年11月12日)ソース元は2007年11月9日毎日新聞 http://econotes.cocolog-nifty.com/syugyo/2007/11/41_ffbb.html ハフィントンポスト「彼らはかつて英雄だった」ホームレスになった退役軍人たちの肖像(画像集)(2014年06月17日) http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/16/they-may-have-been-heroes_n_5498326.html こんなことを考えてしまうとクリエイターとNPO法人は単にバズらせるために復員軍人の日をターゲットにし、感動的な演出でジムさんを利用したとしか思えない訳です。 ジムさんが人生を取り戻せたかどうかとは別に、結果的に投稿から数日で日本円にして約300万円の寄付が集まっていますので多くの金額が調達できたことでしょう。(その後の寄付金額は不明)マーケティングとしては成功かもしれませんね。 (※退役軍人というキーワードから、ホームレスの根源は戦争であり、安易に反戦に意識が向きがちですが、そう簡単な問題では無いようです) 苺畑より ホームレスの四分の一が元軍人という嘘 (2008年1月8日) http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2008/01/post_620.html

底辺にとって外見

67万円男

では底辺にとって外見ってどれくらい重要なのか。

ジムさんのケースは内面が変わる前に外見を変えたケースです。
そもそも、第一印象は就職面接では重要ですので、社会復帰には身だしなみは大切です。
本来の動画のテーマはどうか分かりませんが、外見を変えれば内面も変わるのではないかと想起しそうです。
そして、外側からアプローチして内面が変わるかという疑問が浮かびます。 (外見のコンプレックスを整形やおしゃれで克服というのは内面の変化に大いに期待ができそうですが)

話を自分に置き換えると、僕の思考は浅く、自分を変えるためにという名目で「コレ買ったら仕事がんばろう」という逆の順序になっている、そして購入後もそのコストパフォーマンスを考えようともしていないという自分への甘やかしがよくあります。

よく聞く高級車や高級時計を購入する欲求をバネに仕事のモチベーションを上げる、というのは効果はあっても ローンなどでモノや外見を先に手に入れ、そこで満足してしまってはモチベーションになり得ないという訳ですね。
「衣食足りて礼節を知る」(=生活に余裕ができてこそ礼儀や節度をわきまえられる)とは良く言いますが、社会生活に必要な最低限の衣食住は必要といえますが、それ以上は礼節を知ってからと言えそうです。  

本当に人間を変えるには?

i want change

photo by m.a.r.c.

動画を紹介するブログにこんな記述がありました。

”大前研一さんが、人間が変わる方法は3つしかない。 1番目は時間配分を変える。 2番目は住む場所を変える。 3番目はつきあう人を変える。 この3つの要素で しか人間は変わらない。 最も無意味なのは『決意を新たにする』こと。 とおっしゃっていますが環境を変えるために他の人の力を借りるという選択肢もあって良 いと思います。” ホームレスとなった退役軍人の男性の変化(2013年11月11日)

この大前研一氏の言葉はプレジデントの別冊「時間とムダの科学」からの引用された言葉です。 この本は僕も読んだことがあり、この言葉はよく覚えています(プレジデントで特集された記事を寄せ集めたもので大前さんの記事はちょっとしかありません) このほか、以下のような考え方も。

 ENJILOG 目標や夢を叶える方法。たった1つの大切な事 「毎日、お米を半分にする。」「30分毎日歩く、雨でも歩く。」 というように少しでも簡単でもいいから毎日できる事に落とし込む事が重要なのです。 「やる日」と「やらない日」を作ってしまうと、 ほとんどの人は「やらない日」が増えていきます。

要は継続して自分が変化せざるを得ない状況を作ること(仕組みを作ること)だと思います。 それは考え方や習慣を変えること(いわゆるコンフォートゾーンを抜け出すこと)ですからやりたくないことだったり、地味で面倒なことばかりでしょう。 ジムさんのケースから分かったのは外見が変わったり、他人の力を借りたとしても、時間配分、住む場所、付き合う人が変わらなければ何も変わっていないのです。 さらに依存症のような強い習慣があるとホームレスを脱するのはより困難になりそうです。 何より長期間のホームレス生活から社会に適応できる思考や労働が出来るかが大きな難関だと思います。 底辺の僕に当てはめると、生活水準は異なっていたとしても、いつもお金がないと言い困っています。 気づかぬうちに非生産的な習慣によってがんじがらめになっているというのはジムさんと同じなのではないかと思う訳です。

まとめ:底辺は外見よりも内面から。客観視で見る自分の気づき

ある程度の実力がなければ外見は過度に表示してはいけない。 実力がある、もしくは外見に実力が追いつく可能性があるならば、それを示すために外見は大いに重要と言えます。

人は変われる、見た目だけなら簡単に。

そして、底辺にとっては外見というものは決意と同じですぐに変えられるけど、それもまたすぐに変わってしまうもの。 …というのが今回の教訓となりそうです。

底辺マインドの僕は、アメリカンドリームやシンデレラストーリーに憧れ、「宝くじ当たらないかな」感覚で根拠もなく誰かが与えてくれるチャンスがあればいつでも這い上がれるなんて本気で思っていました。
メディアに登場する「成功者」と呼ばれる人は一面しか見ることができません。
努力などの側面はメディア上ではドラマチックではないのでそうそうクローズアップされないのです。
僕は想像力が欠如していますから、自分の体たらくをそっちのけにして自分勝手な希望をもってしまいます。 努力や積み重ねの大切さを軽視してきました。
それは少しずつ当てられるボディーブローのようなもので、大人になってから効いきたと実感しています。