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書籍:起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック

time 2016/08/10

書籍:起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック

 

著者:田中英高
出版社:中央法規
20094月発行

目次
1章 起立性調節障害の子どもを待ち受ける数々の障壁
2章 進路を考えるうえで大切にしたいこと
3章 起立性調節障害の子どもの高校進路選択ケーススタディ
4章 子どもの個性を伸ばす社会復帰支援プログラム
5章 高校進学以降の留意点
6章 すばらしく生きる

 

起立性調節障害(OD)特有である理解のされなさから、家庭や学校での保護者ができるサポートに重きを置いた書籍です。

「はじめに」においては「高校中退者の実体」についても触れられ、不登校の原因の34割が起立性調節障害だと考えられています。(日本小児心身医学会編『小児心身医学会ガイドライン集』南江堂、2009)

さらにODは進学に関わる中学校生活中に発症しやすいため、どのように乗り越えるかといった適切なノウハウを事前に知っておくといったスタンスの本です。

 

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1章 起立性調節障害の子どもを待ち受ける数々の障壁

ウメ子さんというODにみられる症状を組み合わせた架空の人物が登場し、話が進められますが具体的な生活の様子といった描写もあるため、OD患者の方からすると共感ができる部分が多いのではないかといった印象です。

ウメ子さんの例は架空の話ではありますが、ODはうつ病の診断基準とも重なることから、うつ病と診断されてしまうといった事柄も記されており、起立性調節障害は身体の病気であることから精神科医が把握していない分野であるといった医師の内情も書かれています。

この点を病院選びの前に知っているのと知っていないのとではその後の対応が大きく変わってくるものと思います。

また、1章後半では保護者のODの症状に対するリアクションでその後の悪化してしまう可能性があることを示唆しています。

  • 心配
  • 不安
  • 怒り

これらが最大の増悪因子として紹介されています。

保護者の立場からするとODが理解できず、なぜ他の人と同じように生活できないのかという心境かと思います。

ただ、どうして朝起きられないのかは発症している患者さん本人も原因が解っていないはずですので、責められても改善にはつながりません。

 

2章 進路を考えるうえで大切にしたいこと

起立性調節障害を持つ不登校傾向の生徒100人を出席率から4つのグループに分け、中学卒業後の足取りを調査しています。
実態から見えてきたのは「一番大切なことは、自分の体力に見合った授業カリキュラムの高校を選択すること」とあります。

また、進学には本人の強い意志も重要であることも添えられ、自立心を育てる重要性についても触れられています。

高校の種類の紹介などにも書かれていますので、症状と出席日数を考えながら進路の参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

3章 起立性調節障害の子どもの高校進路選択ケーススタディ

実際に進学した生徒の詳しいケースが集められた章です。
「友達と一緒の高校に行きたい」と友人と同じ進路を選択したBさんのケースでは登校できずに両親に責められ、ひきこもりになり、中退した後も家庭内で責められ、うつを発症するといった流れが書かれています。

 

4章 子どもの個性を伸ばす社会復帰支援プログラム

本章ではODと付き合っていくため、保護者と生徒が活用できるプログラムが紹介されています。 

  • 体調に合わせてカリキュラムが組める通信制高校
    ODは季節によって症状が変化するため、季節に合わせて単位の数を変えるといった工夫をすることが可能な学校を選択したEさんが紹介されています。
    全日制と異なるため保護者が良いイメージを持っていないこともありますが、ここで紹介されているケースでは大学進学も果たしています。
    「勉学が少しずつでも着実に進むと自信もつきます」といった点も、ODの生徒の自立心を育むのには重要だと思いました。
  • 学習支援プログラム
    専門医である著者らが発足した活動。
    心理学を専攻している大学生・大学院生がODについて心身医学的な研修を受けた上で学習支援を実施するもの。
    本書ではメンタルアソシエーツと呼んでいます。
  • 保護者ガイダンス
    ODによる不登校やひきこもりで保護者が受ける精神的ダメージと「心の平静」について書かれています。
    自己実現的予言について触れられており、この考え方が子どもの成長に役立つとして紹介されています。

Self-Fulfilling prophecy(自己実現的予言・自己充足的予言)

予言したという事実によって実現してしまう、すなわち、心に描いたイメージはいずれ実現する、という意味で、経済学や経営論では有名な概念です。
Hさんの両親は、Hさんはもう一生ダメなんだ、と思ってしまったことで、本当にダメになりかけていました。
左前になりかけた証券会社が、取り付け騒ぎで本当に倒産してしまう様子に似ています。

そこで、Self-Fulfilling prophecyから脱却するために、「3つの態度」という理論を両親にガイダンスしました。それは次の3つです。

  • 態度1子どもの素晴らしい点を見つけて、心から喜ぶ。
  • 態度2子どもの悪い点を、いつも心配する。
  • 態度3子どもを冷静に客観視し、「心の平静」を保つ。

思い込みは良い方向にも悪い方向にも作用することから、子どもに接する態度を整えることで良い方向に進むようになるという考え方ですね。

5章 高校進学以降の留意点

日常生活、大学、就職、結婚、出産、子育てなどについて触れられています。
項目が多いため深くは書かれていませんが、ODを長期的に考えることができます。

6章 すばらしく生きる

ODによって苦しみの渦中にいる方への著者からのメッセージが書かれています。
前向きな気持をもらえる章となっています。

 

 

 


起立性調節障害(OD)についてまとめたページを作成しました。
中学生、高校生特有の寝坊を治す方法や関連書籍を紹介しています。
ぜひ御覧ください。

起立性調節障害(OD)についてのページ


 

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すいみんまなぶ

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眠りについて必ずお役に立てるよう更新しています。 語りだすとついつい長くなっちゃいます。