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書評:起立性調節障害がよくわかる本 朝起きられない子どもの病気

time 2016/07/24

書評:起立性調節障害がよくわかる本 朝起きられない子どもの病気

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起立性調節障害がよくわかる本 朝起きられない子どもの病気
監修 田中英高(大阪医科大学准教授)
講談社2013410日発行

1章 一見怠け者? しかしその実態は
2章 医療機関で正体を見極める
3章 家庭で子どもを見守る
4章 学校を過ごしやすい環境にする
5章 自立して生活するために

 

まえがき
この病気が厄介なのは、最も発症しやすい時期が思春期で、高校進学という人生の岐路に当たるということです。

この本の大きな特徴はイラストともに、中学、高校、部活、大学、社会人、季節の変化などといった人生を通しての起立性調節障害とのつきあい方が書かれている点です。

とはいえ、広く浅いといった印象はありません。
イラストが多用されご本人やご家族の両方が気軽に読めて、馴染みのない起立性調節障害という病気の不安をやさしい解説でほぐしてくれるといった内容です。

また、内容も家庭内や社会といった実生活に絞ったものですのでイラストが多めでも内容の量は十分にあります。
他の起立性調節障害について書かれた本よりも大判ですので、親子で一緒に本を広げて読むのにも良いのではないでしょうか。

その他には症状が出始めた時に疑われやすい子どものうつ病との違い(うつ病の診断基準)にも触れられていたり、今日の医療の現場では精神科医にはまだ子ども特有の起立性調節障害の知識が広まっていない点についても言及されています。

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1章 一見怠け者?しかしその実体は

ここでは自律神経(交感神経と副交感神経)の話が書かれています。

起立性調節障害は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスがうまく調節できないことに起因しています。

血行不良に起因して以下のような主な症状があると書かれています

  • めまい
  • 頭痛
  • 立ちくらみ
  • 動悸
  • 倦怠感
  • イライラ
  • 思考力低下
  • 判断力低下
  • 成績低下
  • 冷え性

 

【体の内外の状況に合わせて体調を調整するのが苦手】

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、血管の収縮や心臓のの拍動や収縮力調節しています。血圧が高くなると、頸動脈と大動脈が刺激されて、延髄にある血管運動中枢に信号が送られます。中枢は、血圧を下げる命令を出し、交感神経の働きが低下して、血圧も下がります。

起立性調節障害ではこのような体の内外の状況に合わせて体調を調節する機能がうまく働きません。下がった血圧がなかなか上がらないのは、このためです。

 

不登校といじめの順序

不登校はいじめが原因と考えられがちです。
しかし、元をたどれば

  1. 起立性調節障害の症状で朝が起きられない
  2. 遅刻や欠席になってしまう
  3. それが原因でいじめに発展してしまう

このような順序に気づけない場合も少なからずあるかと思います。
また、すでに起立性調節障害で不登校になっている場合は周囲からいじめに合っている可能性もあることを認識しておくべきとも書かれています。

本書出版時(2013)では以下のように書かれています。

養護教諭(保健室の教師)のほとんどは認知していますが、一般教師の認知度はまだまだ低いようです。

 

2章 医療機関で正体を見極める

ケーススタディでは内科から児童精神科さらに小児科へ受診したケースが紹介されています。

このケーススタディでは内科医では異常がみられず、そこで勧められた児童精神科ではうつ病の疑いがあるが念のため小児科への受診を勧められ小児科で起立性調節障害と診断されたとあります。

起立性調節障害は、日時や条件によって症状や体調が変わることのある病気なので、診断するまでに何回かの検査をすることがあります。
症状が起立性調節障害によるものかどうかを見極めるのが難しいため、さまざまな角度から診察します。

どの医療機関へ受診するかについては児童小児科と書かれています。

第3章 家庭で子どもを見守る

起立性調節障害に悩んでいる子どもとその親との関係ついて書かれている章です。
起立性調節障害は周囲に理解されない病気ですが、診断されるまで本人も起立性調節障害であると気づいていないのはもちろんのこと、保護者も単なる怠けなどと間違った認識を持っているケースも非常に多い病気です。

無理解から親子の関係が悪化することも少なくないことからこの章は特に親子で読んでいただきたい章です。
また、「朝の起こし方」だけでも図入りで2ページ設けており、すぐに家庭で実践ができる内容となっています。

 

第4章 学校を過ごしやすい環境にする

起立性調節障害という病気を周囲に知ってもらうために、本人だけでなく、保護者と教師との関係だけでなくクラブ活動、進路を考える章となっています。
また進路の選び方に関しても記載されており、通信制高校や定時制高校、高等学校卒業程度認定試験など、全日制にこだわずに将来を見据えて幅広い選択肢を用意するべきと書かれています。

 

第5章 自立して生活するために

5章では「自立して生活するために」として、思春期からさらに進んで、大学生、一人暮らし、社会人、妊娠といった人生の中での起立性調節障害とのつきあい方が書かれています。

とくに、成人してからはアルコールを飲む機会ができますが、本書ではアルコールは血圧を下げやすいという点も記述されている点は特筆すべき点です。

 

起立性調節障害はすぐに治る病気ではありません。
病気とのつきあい方という観点に立った時、起立性調節障害のご本人やご家族にとって役立つ本だと思います。


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起立性調節障害についてまとめたページを作成しました。
中学生、高校生特有の寝坊を治す方法や関連書籍を紹介しています。
ぜひ御覧ください。

起立性調節障害についてのページ


 

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まなぶ

まなぶ

眠りについて必ずお役に立てるよう更新しています。 語りだすとついつい長くなっちゃいます。

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