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書評:起立調節障害の子どもの正しい理解と対応

time 2016/07/06

書評:起立調節障害の子どもの正しい理解と対応

起立調節障害の子どもの正しい理解と対応
2009425日発行
著者:田中 英高

第1章 今、子どもたちに何が起きているか?
第2章 なぜ「起立性調節障害」は気づかれないのか「起立性調節障害」を理解する
第3章 起立性調節障害の子どもたちのSOSサインを見逃すな
第4章 診断と治療はこう行われる
第5章 周囲のサポートが子どもたちを救う
第6章 起立性調節障害のここが知りたいQ&A

 
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本書の概要

20069月に日本小児心身医学会から発行された医師向けの『小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン』をもとに患者や家族にも解りやすい平易な文章で書かれた本です。

この本の大きな特色は目次の次のページにある「本書の活用方法」という項です。

<本書の活用方法>
本書では、日本小児心身医学会が作成した「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」の内容に触れながら、医師だけでなく、子供の不調に頭を抱え、悩む保護者の方々や、知識として「起立性調節障害」を知らないために子どもへの接し方がわからない学校関係者にもお読みいただけるよう、具体的なケースも交えて解りやすく解説しています。

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ここでは以下の3者に向けて読むべきページを示しています。

  • 医師向け
  • 学校関係者向け
  • 保護者向け

このような区分けがされているため、難しい内容である医師向けの専門用語を含む診断基準や方法といった項目は読まなくても大丈夫です。

逆に、起立性調節障害の傾向から中学生から高校生くらいの患者さんが多いとは思いますが、全体的に図が少なく読むのは若干難しいところもあるかもしれませんので、周囲や保護者が理解を深めるための本という位置づけの方が本書に合った使い方だと思います。

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第2章 『なぜ「起立性調節障害」は気づかれないのか―「起立性調節障害」を理解する―』

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第2章 『なぜ「起立性調節障害」は気づかれないのか―「起立性調節障害」を理解する―』

4章 『診断と治療はこう行われる』

起立性調節障害特有の血圧の計測方法などの紹介がされており、医療従事者向けの内容が含まれます。

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また、この中では日常生活の工夫で症状を緩和させる方法が紹介されています。

セルフケアの一例は以下のとおりです

  • 脳血流を低下させない立ち上がって歩き始める方法
  • 水分の摂取
  • 塩分の摂取
  • 適度な運動
  • 体内時計のしくみと生活リズムの整え方

睡眠と照明に関しても触れられています。

<P.92>
寝る前から部屋の明かりを暗くする。蛍光灯よりもオレンジ色の電灯の薄暗い明かりのほうがメラトニンの分泌を促して眠りを誘いやすいと言われています。

当ブログでも光目覚まし時計の項目で睡眠と照明に関して触れていますのでご参照ください。

光目覚まし時計の選び方

特に第5章『周囲のサポートが子どもたちを救う』では保護者のサポートの心構えや朝起こしたり眠りやすくする具体的な方法が示されています。

第6章の『起立性調節障害のここが知りたいQ&A』ではいじめと起立性調節障害の因果関係について触れられています。

<起立性調節障害のここが知りたいQ&A>

私は大阪府下の中学生500名を対象に質問調査をしました。今から10年ほど前の古いデータですが、「いじめられたことがある」と答えた子どもは、一般中学生では16%でしたが、起立調節障害の子どもでは29%と、約1.8倍になりました。

すなわち、いじめという精神的ストレスで自律神経系に悪影響が出た結果、起立性調節障害が発症、あるいは増悪したと考えられます。起立性調節障害を起こすと遅刻したり欠席がちになりますから、それが原因でいじめられる危険性も増えてきます。

そのほかQ&Aの最後には起立性調節障害を持った中学校3年生の子どもの進路(高校進学)に関しても触れられています。

ここでは出席日数と季節に応じた症状などを絡めて具体的なアドバイスが書かれています。

<起立性調節障害のここが知りたいQ&A>
一方、保護者にとって一番大切な心構えは「子どもは必ず、今世、自らに課した尊い使命をもって生まれてきている。その使命を果たす日が必ずやってくる」と確信することです。そして、「子どもが自ら動き出すまで、じっくり見守っていこう」と保護者が自らに言い聞かせることです。そのような高い心境にすぐには到達しませんが、しかし、これも日々、努力することによってそのように思える日がやってきます。「必ず明るい未来がやってくる」と信じて明るく元気に毎日を過ごしてください。皆様に幸せな日がやってくることを心からお祈りしております。

起立性調節障害は周囲からは怠けやうつ病などと勘違いされてしまう場合が少なくはありません。
患者である子どもの立場からは症状の緩和や生活の改善は非常に難しいことが多く、まずは家族がこのような勘違いや誤解を乗り越えないといけません。
このような観点から保護者や教師の立場から起立性調節障害を理解するためにはとても参考になる本です。

 


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起立性調節障害についてまとめたページを作成しました。
中学生、高校生特有の寝坊を治す方法や関連書籍を紹介しています。
ぜひ御覧ください。

起立性調節障害についてのページ


 

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まなぶ

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眠りについて必ずお役に立てるよう更新しています。 語りだすとついつい長くなっちゃいます。

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